院長の健康お役立ちコラム
~RSウイルス感染症~
冬の終わり、少しずつ暖かい日がふえてきました。
寒暖差が大きくなる季節がやってきます。みなさま、身体には御自愛ください。
卒業シーズンが迫りつつあるということで、今回は小児に多い、冬から春にかけて流行するRSウイルス感染症について紹介します。
RSウイルス感染症といってもあまり聞き慣れないと思いますが、感染力は非常に強く2歳頃までにほぼ100%感染するとされています。
RSウイルス感染症とは?
「RSウイルス感染症」とは、RSウイルスに感染することによって引き起こされる風邪とよく似ている呼吸器の疾患です。
一度かかっても免疫ができにくく、一生に何回も繰り返しかかります。特に、初感染時は症状が重くなりやすく、乳幼児早期や、基礎疾患のある小児は重症化しやすいため注意が必要です。
症状は?
RSウイルスの潜伏期間は2~8日間とされ、症状としては「発熱」「鼻水」「咳」など軽い風邪のような症状が出ます。多くは軽症で済みますが、咳がひどくなる、「ゼーゼー、ヒューヒュー」という喘鳴を伴った症状が出た場合は肺炎へと進展することがあります。初めて感染する小児の約7割は、数日のうちに完治しますが、約3割は咳が悪化し、喘鳴や呼吸困難症状などが出現します。また、重篤な合併症として注意すべきものには、無呼吸発作、急性脳症等があります。
治療方法は?
RSウイルスの特効薬などはなく基本的には対症療法(症状を和らげる治療方法)を行います。水分補給・睡眠・栄養・保温をして安静に経過をみることになります。必要に応じて、点滴や喘息で使用するお薬を使用することがあります。
予防方法は?
RSウイルスは小児の場合、母親のおなかの中にいる時にもらった免疫では感染を防ぐことはできません。 そのため、手洗いうがいをこまめに行い、乳幼児が口に入れるものを清潔にしておくことなどが重要になってきます。また流行期には人混みを避けるなどの注意や、感染源にならないように注意することが必要になります。
予防接種について
従来、RSウイルス感染症の予防接種は、小児、とくに早産児など限定的でした。しかし、昨今では60歳以上を対象とした予防接種が開始されました。冒頭から小児に多いとお話しさせて頂いたRSウイルス感染症ですが、大人にも関係のない話ではありません。とくに高齢者や基礎疾患のある方、免疫機能が低下している方は、感染した場合、重症化のリスクが高い傾向にあります。ワクチンの効果としては、RSウイルスに感染するリスクが約5分の1まで減らせることがわかっています。さらに入院や重症化のリスクも減らせることが実証されています。
もし高熱が続く、咳がひどい、呼吸が早いなど気になったときには、ご自身で判断することは難しいので、医療機関でご相談ください。