院長の健康お役立ちコラム
~プール熱~
みなさま、こんにちは
新涼の秋、過ごしやすく活動的な季節になりました。
今回は3大夏風邪である「プール熱」についてお話しようと思います。
季節外れな話題かとお思いでしょうが、通常は6月頃から徐々に流行しはじめ、7~8月にピークとなるプール熱ですが、今年は9月以降に患者数が増加しております。そこで改めてプール熱について知って頂き、予防・対症療法を行うことで、ご家族を守って頂ければと思います。
プール熱とは?
プール熱は咽頭結膜炎とも呼ばれ、アデノウィルが引き起こす風邪の1つです。
アデノウィルは咳・くしゃみなどの飛沫感染、また直接ふれる接触感染でうつります。プールでの感染が多くみられることから、日本ではプール熱とも呼ばれています。発熱・頭痛・倦怠感・咽頭痛などの風邪に似た症状と、結膜炎にともなう目の痛みや充血、目やになどがあります。主に小児に多い病気ではありますが、大人でも感染します。感染から発症までの潜伏期間は5~6日ほどで、症状がなくなった後もノドから1~2週間程度、排泄物からは1か月程度ウイルスが排出されると報告されています。さらにアデノウィルは感染力が強いだけでなく、現在50もの種類があります。
そのため、一度プール熱になったとしても別の種類に感染すると再び発症してしまうことがあります。
治療方法は?
プール熱は根本的に治療するお薬はありませんが、ほとんどが自然に治りますので自己免疫力で回復するのをサポートしてあげることが大切です。
高熱が比較的長く(5日前後)続くことがあるため解熱剤で症状を抑え、脱水を起こさないよう経口補水液などでしっかりと水分補給します。結膜炎には目薬で対応します。個人差はありますが早くても1週間、長くても2週間ほどで症状は緩和します。
予防する方法は?
治療薬がないこともあり、重要なことは予防です。
プールでの感染が多いためプールから上がったら、目・手をよく洗いうがいをすることも大切ですが、日常的に流水と石鹸による手洗い・うがいをこまめにすることも大切です。ウイルスは熱や有効な消毒剤で不活化されますが、目やに・唾液が付着したタオルは洗濯機で洗剤を使用して洗っても感染する場合がありますので、流行時はご家族で共用しないことをおすすめします。またプール熱は便から30日間ウイルスが排出されますので、おむつ交換後に汚染された手を介して家族内感染が広がる可能性もありますので、十分に注意してください。
その他、免疫力を高めるためにバランスの良い食事・質の良い睡眠と適度な運動などに心掛けましょう。
発症してすぐは熱と喉の痛みなど風邪症状だけでも、時間の経過とともに目の症状が出ることもあり、ご家族で判断することは難しいので不安な時はまずお近くの医療機関でご相談下さい。