院長の健康お役立ちコラム
~男性更年期障害~
夏も本番になり、暑い日が続きますね
夏バテによる食欲・体力の低下には注意して下さい。 当院でも体力の低下や活力が出ない、また憂うつな日が続いているなどで受診されるケースが増えています。当然夏バテが原因で食欲不振な方もいらっしゃいますが、更年期障害 によることも少なくありません。ただの疲れなのか、または更年期障害によるものなのかを御自身で判断することは難しいと思います。そんな更年期障害の中でも、今回は男性更年期障害についてお話しようと思います。
男性更年期障害とは?
一般的に更年期障害とは女性の体調不良のイメージが強いと思います。ですので、男性は人知れず症状に悩んだり、放置を続けて悪化させてしまったりすることもあります。 しかし更年期障害とは「40代以降の男女の性ホルモン分泌量の低下が原因となる自律神経失調症に似た症候群」のことを言います。最近では男性にも更年期障害があることが分かってきました。男性更年期障害は別名LOH症候群といい、LOHとはlate−onset hypogonadismの略で、遅れてやってきた性腺機能低下症という意味です。テストステロン(男性ホルモン)の分泌量が減ることなどが原因と考えられています。 このテストステロンの働きは筋肉や骨を強くする・性機能を正常に保つ・行動力を高めるといった役割を持っています。
しかし加齢とともにその量は減少し、さまざまな心身の不調が起きることがあります。 ただし、「テストステロンの分泌量の低下=不調」というわけではありません。テストステロンの分泌量低下によるものだけではなく、「ストレス」が大きく関わっていることが分かってきました。強いストレスが長時間続くと、脳のほうから精巣に男性ホルモンを出す指令が出なくなり、男性ホルモンが減るのです。ストレス社会となっている現代では珍しい病気ではありません。このようにさまざまな外的要因が関わってきます。ですので、充実感を持って日々仕事や趣味に取り組んでいる男性は、更年期障害を発症しにくいといわれています。
女性の更年期障害は閉経の前後5年間が発症のピークですが、男性の場合は特に好発年齢はありません。40代以降なら何歳でも発症し得えますし、男性の更年期障害には女性のように閉経前後といった目安がなく、人によっては長く苦しむケースも珍しくないようです。 放置するとうつ病や心筋梗塞、骨粗しょう症などのリスクも高まるので、おかしいなと感じたら、専門の医療機関にご相談下さい。
治療方法は?
疲れやすい、集中力がもたない、イライラする、やる気がでない、性機能が低下した、などの症状をお持ちの方やうつ病の治療をしているが症状が改善しないような方は、一度男性ホルモン(遊離テストステロン)を採血で測定することをお勧めします。血液中の遊離テストステロン値が8.5pg/ml未満で、心身の不調が著しい場合は、男性ホルモン補充療法を行います。 ただ、この補充療法は前立腺がんや肝臓病、腎臓病、心臓病などを患っている場合、そちらの症状が悪化する可能性があるので受けることはできません。さらに男性ホルモンは血液を造り出す力も持っており、投与量が多くなると多血症を引き起こす恐れが出てきます。定期的に血液検査する必要があります。 その他にうつ状態なら抗うつ薬、骨が弱くなっているなら骨粗しょう症薬、性機能が衰えているならED治療薬など、症状に合った薬を使うこともあります。男性の更年期障害は長らく老化の一環とみなされ、「もう歳だから」のひとことで済まされてきました。しかし、きちんと検査・治療することで症状は改善する可能性があります。 御独りで悩まずに、一度、医療機関にご相談下さい。