院長の健康お役立ちコラム
~膀胱炎~
長雨とともに、暑い日が続きます。
みなさま体調を崩されないようにお気をつけ下さい。
夏になると汗をかくことが多く、冷房のきいた部屋で過ごす時間が長くなります。
脱水状態や、体が冷えることも膀胱炎の発症リスクと言われています。
膀胱炎で西本クリニックを受診される方が増えているように思います。
急性・慢性・間質性・放射線性と膀胱炎にも多くの種類があり、今回はその中の「急性膀胱炎」についてお話させていただきます。
排尿痛や残尿感、排尿後にしみるような痛みを感じる、尿の回数が多くなる(頻尿)などの症状がある場合は、まず膀胱炎を疑います。構造上、女性の方が男性と比べ尿道が短いため膀胱炎にかかるリスクが高いです。では、次に膀胱炎とはどんな病気かご説明いたします。
膀胱炎とは
膀胱は、内面がやわらかい粘膜の袋で、尿を溜める臓器です。外部から大腸菌などの腸内細菌が、尿道をとおり膀胱内に侵入し、膀胱の粘膜で炎症を起こすことで膀胱炎を発症します。圧倒的に女性に多い病気です。それは先ほどもお話したように女性は尿道が短く、細菌が膀胱まで簡単に到達してしまいます。多くの場合、尿とともに細菌は膀胱の外へ洗い出されますが、おっしこを我慢したり、体調が悪かったりすると免疫力が低下し、膀胱の中で細菌が繁殖して膀胱炎を起こします。
膀胱炎を引き起こす腸内細菌は、大腸・直腸に棲んでいる菌ですので、肛門やその周囲には必ずいるものです。そこから、尿道、膀胱へと侵入していきます。
症状は
症状は、排尿痛・残尿感・下腹部痛・頻尿・尿混濁・血尿などがあります。
膀胱炎は通常、熱は出ませんが、病院に行かずに放置していると細菌が腎臓の腎盂にまで広がり、腎盂腎炎を併発し重症化(発熱、血圧低下、全身倦怠感)することもありますので早期に専門の医療機関への受診をお勧め致します。
治療法は
膀胱炎は自然治癒することもありますが、腎盂腎炎を発症すると抗菌薬投与が必要になります。尿量が少なく、膀胱にたまっている時間が長いと膀胱内で菌が繁殖しやすくなるので、水分を多めに摂取して尿量を増やすように心がけてください。こまめに排尿することも大切です。
薬の服用が終わったら、再び尿検査を受け、膀胱炎が完治していることを確認しましょう。
再発を繰り返さないためには確実に治しておくことが大切です。治癒した後でも水分補給や尿意を我慢しないようにすることで再発の予防にもつながります。また薬を服用しても、なかなか症状が良くならない場合には、あらためて細菌を培養して、細菌の種類や薬との相性をチェックします。最近、耐性菌と呼ばれる抗菌薬の効きにくい細菌が増えています。完全に治るまできちんと治療して下さい。さらに、膀胱炎の誘因となる病気について検査を行う場合もあります。
膀胱炎はポピュラーな病気なので軽視される方もいらっしゃいますが、病院に行かずに放置していると重症化する恐れもあり大変危険です。
残尿感や排尿痛などを感じたさいは、ご自身で判断されずに専門医へ受診されることをお勧め致します。