院長の健康お役立ちコラム
~帯状疱疹~
通年よりも早い梅雨入りでしょうか
雨が続くと、蒸し暑く寝苦しい日々が続きます。
本日は最近CMなどでも話題の「帯状疱疹」についてお話しようと思います。
西本クリニックでも帯状疱疹にお悩みで来られる患者さまが少なくありません。
帯状疱疹とは?
水痘・帯状疱疹ウイルスによっておこる病気です。
水痘・帯状疱疹ウイルスは多くの方が4歳頃までにはじめて感染し、皆さまも1度は耳にしたことがある病気「水ぼうそう」を発症します。
国内では成人の90%以上が水ぼうそうが治った後も、症状を出さない状態でウイルスが体内に潜み続けています。
そのため体内に潜伏することによってできる「抗体」を有します。
身体が元気な時は悪さをしませんが、睡眠不足・ストレス・疲労や加齢、またHIVや癌、免疫抑制剤の服用による免疫力の低下など、様々の要因で免疫機能が低下した時などに再活性し発症します。
症状は?
個人差がありますが、初めのうちはチクチクやズキズキといった局所の痛みから始まります。
その後、水疱を伴う赤い発疹が現われます。その頃には徐々に痛みが強くなります。
強い痛みや皮膚の症状は、神経の流れに沿って体の左右どちらかで帯状にみられ、主に腕や胸、背中など多くは上半身に現れます。
2~4週間程度で帯状疱疹は治療しなくても治る場合もあります。
しかし治療せずに放置をすると重症化することもあります!!
上半身に出現することが多いけれど、体にどこにでも症状が現われる可能性があり、特に首から上の帯状疱疹は重症化すると失明や難聴、顔面神経の麻痺などを引き起こす可能性も十分にあります。
また、治癒しても数か月から数年にわたって続く痛みのことを帯状疱疹後神経痛(PHN)といいます。
PHNは加齢とともに発症リスクが高くなり、帯状疱疹を発症した50歳以上のおおよそ2割が移行すると報告されています。
治療方法は?
発疹出現から72時間以内に治療開始することで症状を少しでも緩和、また重症化のリスクを減らすとされています。
治療方法としては、抗ウイルス薬を内服して頂くことが多いですが、重症の場合は抗ウイルス薬の点滴をします。
また夜も眠れないほどの強い痛みが続く場合は、神経ブロックという注射を行うこともあります。
予防策はあるの?
まずは発症しないための予防が大切です。
運動不足や睡眠不足、偏食などは一般に免疫力の低下につながるといわれています。
バランスのよい食事を摂取し、十分な睡眠を取ることで日常から免疫力を高めることを意識しましょう。
さらに50歳以上の方についてはワクチンを接種することで、発症予防・重症化予防ができるとされています。
現在「弱毒化生ワクチン」と「不活化ワクチン」があり、それぞれに接種回数や持続性が異なります。
ワクチンについてもう少し詳しくご説明いたします。
帯状疱疹ワクチンについて
「弱毒化生ワクチン・不活化ワクチン」のどちらも帯状疱疹の予防効果・重症化リスクの軽減・PHNの予防に期待できます。
生ワクチンの発症予防効果は69%で、PHNの発症を30%軽減する効果があるとされています。
一方、不活化ワクチンの予防効果は97%あり、PHNに対しても88%軽減と生ワクチンよりも高い予防効果があるといわれています。
効果の持続性も生ワクチンが5年、不活化ワクチンは9年以上持続すると報告されており、予防効果としては不活化ワクチンが優れているといえます。
ただし生ワクチンは接種回数が1回で皮下注射に対して、不活化ワクチンは2回の筋肉注射であり、価格や接種回数の面では生ワクチンの方がコストを抑え、回数も少なくできます。また一般的には不活化ワクチンの方が注射をした部分の痛みや腫れが強いともいわれています。
「接種回数が多くても、効果が強く持続性が高い方がいい」
「筋肉注射が苦手…。1回で済む方がいい」
色々なご意見があると思います。何よりも患者さま一人ひとりのライフスタイルに合わせた選択をしていただき、悩んだ時はいつでも専門医にご相談ください。
現在、帯状疱疹・帯状疱疹後神経痛(PHN)でお悩みの方は少しでも早く専門の医療機関で治療されることをお勧め致します。