院長の健康お役立ちコラム

~性感染症 梅毒~ あなたと大切なパートナーのために

泌尿器科といえば皆さんはどのような病気を想像されますか?

泌尿器科は、男女問わずおしっこが通るところ(尿路)と、男性生殖器の病気を診断・治療するところです。血尿・蛋白尿など尿の異常、頻尿・排尿障害、排尿痛、尿失禁などトイレの悩み、膀胱炎や腎盂腎炎などの尿路感染症、尿路結石、前立腺がん・膀胱がんなどの悪性腫瘍、子供の夜尿症、性病、勃起不全(ED)、男性不妊症などの病気などが代表的です。

今回はその中でも年々増加傾向にある「梅毒」についてお話します。


梅毒とは?

梅毒とは梅毒トレポネーマという病原菌によって発症する病気で、主に感染者との性交渉などが原因で感染します。

症状としては感染後数週間の潜伏期間を経て、感染部位にしこりや潰瘍ができたり、鼠径部のリンパ節が腫れたりします。そして、数か月後には全身に赤い発疹(バラ疹)ができ、数年後にはゴム状の腫瘍ができこの時点でも治療をしなければ大動脈瘤や髄膜炎、神経障害(神経梅毒)などの合併症を引き起こすこともあります。


梅毒患者数は年々増えています・・・

2022における全国の年間梅毒患者報告数2023年1月5日時点で12,966人と、感染症発生動向調査の全数把握感染症に定められた1999年以降、年間報告数として最多であった2021年を上回り、2017年以降6年連続して5,000人を超えている(2021年は7,978人、2020年は5,871人)。大阪府では2022年の年間梅毒累計報告数は1,822(2023年第5週時点)で、年間報告数として最多です。 *参考:大阪感染症情報センター


どうして感染するの?

梅毒は、性行為・オーラルセックスにより、生殖器、口、肛門の皮膚や粘膜の微細な傷口から菌が体内に侵入し感染します。また、妊娠時に胎児が胎盤を介して感染し、「先天梅毒」になることがあります。減少していた梅毒が最近急速に増えており、各保健所からも注意喚起が促されています。

検査方法は?

血液検査・問診を行い、約1週間後の検査結果に基づき治療を行います。


治療方法は?

抗生剤の投与を行い、2~12週間経過観察します。


感染後早期(3ヶ月以内)に抗菌薬を内服していただくことで多くの場合は治癒します。早期発見、早期治療をすることで自分だけでなく大切なパートナーを守ることにもつながります。放置していると合併症を引き起こすこともありますので、インターネット等で自己診断される方も多く拝見しますが、早めの受診をお勧めいたします。


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